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恵みを生きるシリーズ#8 仲介者なる主


創世記31:20‐24

ヤコブはアラム人ラバンを欺いて、自分が逃げるのを彼に知られないようにした。彼は自分のものをすべて持って逃げた。彼は立ち去ってあの大河を渡り、ギルアデの山地の方へ向かった。


三日目に、ヤコブが逃げたことがラバンに知らされた。ラバンは身内の者たちを率いて、七日の道のりを追って行き、ギルアデの山地でヤコブに追いついた。神は夜、夢でアラム人ラバンに現れて仰せられた。「あなたは気をつけて、ヤコブと事の善悪を論じないようにしなさい。」


「個人は孤立していては自立できない。ちょうど全体に対する部分のようなものだ。」とアリストテレスが紀元前4世紀に人間が社会的な存在であることを語っています。「人間関係」は人が生きて行く上で必要不可欠なものであることは古代から人々が体験している事実です。一人より二人の方が勝っているとの御言葉の通り、関係は私たちの人生に幸せをもたらしてくれるものです。


しかし、反対にその素晴らしいはずの人間関係自体が私たちの人生の大きな悩みでもあるという皮肉な現実もあります。ある調査によると人の85%は人間関係において何らかの悩みを抱えているそうです。人間関係は私達を生かすモノであると同時に、私たちの人生に重くのしかかる問題であるのです。



ラバンに悩むヤコブ

ヤコブは叔父ラバンのもとに身を寄せ働き始めた後、次第にラバンという人物に苦しめられるようになりました。ヤコブが娘ラケルとの結婚を望んだことにつけ込み、約20年間もヤコブを都合の良い労働力として働かせました。ラバンの下で働くことは神様によるヤコブの訓練でもありましたが、ヤコブにとってはつらい月日でした。


人生の訓練期が終わった時、神様がヤコブに「約束の地に戻りなさい。」と語りかけられ、彼は郷里に戻る決断をします。出発間にヤコブが妻たちに語っている言葉に、いかにヤコブがラバンに苦しんでいたが現れています。


創31:1‐7ヤコブは人を送って、ラケルとレアを自分の群れのいる野に呼び寄せ、彼女たちに言った。「私は、あなたたちの父の態度が以前のようではないのに気づいている。しかし、私の父の神は私とともにおられる。あなたたちがよく知っているように、私はあなたたちの父に、力を尽くして仕えてきた。それなのに、あなたたちの父は私を欺き、私の報酬を何度も変えた。しかし神は、彼が私に害を加えることを許されなかった。


ヤコブにとってラバンは自分を騙し搾取する「問題の人」であり、20年間のラバンに苦しめられ続けて来ました。ラバンに故郷に帰ることを伝えても、娘たちを簡単に手放すはずがないと考えたヤコブはラバンに黙って逃げるように故郷に出発しました。



主の介入

ヤコブが逃げ出したことを知ったラバンは、家来たちを率いてヤコブを追いかけました。そしてついにヤコブたちの姿を捉え、明日にでも追いつくという所まで迫った時、ラバンの夢に神様が現れて言われました。


創 31:24 神は夜、夢にアラム人ラバンに現れて言われた。「あなたはヤコブと、事の善悪を論じないように気をつけよ。」


ラバンは神様の介入によって逃げ出したヤコブと争うことを諫められました。次の日、そのことを心に留めながらラバンはヤコブと対峙します。その場では感情的なぶつかりがあったものの、最後にはラバンとヤコブは座って食事をし、お互いが分かれることで合意することとなりました。


義理の息子あるヤコブが「逃げなければ故郷に帰れない」と判断する人物、そのラバンが条件を付けず財産と娘たちを手放し、ヤコブを行かせたことは奇跡であったと思います。

主の介入がなければラバンとヤコブは血を流すような争いをしたかもしれませんでした。



人間関係に働いて下さる主

エペソ2:14-16 実に、キリストこそ私たちの平和です。キリストは私たち二つのものを一つにし、ご自分の肉において、隔ての壁である敵意を打ち壊し、…この二つをご自分において新しい一人の人に造り上げて平和を実現し、二つのものを一つのからだとして、十字架によって神と和解させ、敵意を十字架によって滅ぼされました


ヤコブがラバンに悩んで苦しんだように、私たちにもそれぞれに人間関係に苦しむときがあります。話し合いで分かり合えない人、忍耐して仕えても歩み寄ってくれない人、そんな相手との関係に悩むことが思います。


そのような関係に対して、普通私たちが下す最終的な判断は争いか、解決のないままの決別です。しかし、ヤコブの姿を見ると「神と共に生きる人の人生」には、神様ご自身が人間関係に介入して下さることを知ることが出来ます。


主がラバンのもとに現れたように、私たちではどうにもできない相手に、神様ご自身が介入し相手に働きかけて下さるのです。


これは人間関係に悩むことの多い私たちにとって大きな恵みだと思います。私だけではどうにもできない関係に悩むとき、相手に愛を持って働きかけ、私にも働きかけて下る主がおられる。そして、その方は私たちに壊すことの出来ない人間関係の隔ての壁を打ち破って一つにして下さる方です。


人間関係に悩むとき、私たちは主に頼り、主にあって相手との平和を期待する者でありたいと思います。

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